緑内障レーザー・手術について

レーザー治療

選択的レーザー線維柱帯形成術(SLT):当院で対応しています。

緑内障レーザー・手術のイメージ

隅角の線維柱帯にレーザーを照射することで、線維柱帯からの房水流出を増加させ、眼圧を下降させる効果が期待できます。短時間ですみ、合併症がほとんどない低侵襲な治療法ですが、眼圧が下がらない症例が30%程度存在するといわれています。

レーザー虹彩切開術(LI):当院で対応しています。

隅角が狭い、または閉塞しているタイプの緑内障(原発閉塞隅角緑内障)が対象となります。虹彩にレーザーを照射することで隅角を開大させ、眼圧の上昇を予防します。また、急性緑内障発作の発症を予防します。

手術治療

流出路再建術

線維柱帯切開術(眼内法)、(眼外法)と白内障手術併用眼内ドレーン挿入術があります。

線維柱帯切開術(眼内法):当院で対応しています。

マイクロフックと呼ばれる専用の器具を用いて手術を行います。顕微鏡下に隅角の線維柱帯を切開することで房水流出が促進され、眼圧下降が期待できます。従来の線維柱帯切開術(眼外法)に比べ患者様への負担が少ない手術方法です。白内障手術と同時に施行することや、単独で施行することができます。副作用としては、術後に前房出血や一過性の眼圧上昇など出現することがあります。隅角の観察が困難な場合は眼内法は施行できないため、眼外法や別の手術方法を検討します。

線維柱帯切開術(眼外法):当院で対応しています。

トラベクロトームと呼ばれる専用の器具を用いて手術を行います。眼内法と同様に線維柱帯を切開しますが、結膜や強膜も切開する必要があるため、眼内法とくらべ眼球への手術侵襲が大きくなります。

白内障手術併用眼内ドレーン挿入術:当院で対応しています。

iStentと呼ばれる専用の器具を用いて手術を行います。チタン合金製の非常に小さなステントを線維柱帯に挿入することで房水流出が促進され、眼圧下降が期待できます。線維柱帯切開術(眼内法)よりもさらに低侵襲のため、術後早期の回復が見込めます。白内障手術を併用する場合のみ、この術式を選択することができます。金属製ですが一部のMRI検査には対応しています。

濾過手術

眼球の白目部分(強膜)に小孔などを作成することで、眼内の房水を眼外に導き眼圧を下げる方法です。大きな眼圧下降が期待できますが、治療効果を長く保つためにマイトマイシンという薬剤を使用する必要があります。また、創部の管理のため術後に頻回の診察が必要であったり、感染などの合併症に長期にわたり注意が必要となります。

線維柱帯切除術(トラベクレクトミー):当院で対応しています。

強膜から線維柱帯に向けて穴を開けていき、線維柱帯の一塊とその周辺の虹彩も切除していきます。切開した強膜と結膜は縫合し、その(強膜を切開した)隙間から房水が流れ出るよう新しいバイパス(流出路)が作成されます。これによって結膜の下へと房水は流れ込み、貯留して濾過胞(プール)が形成されます。この房水は、最終的には血管へと吸収されていきます。

チューブシャント手術(プレートのないもの):当院で対応しています。

エクスプレスやプリザーフロマイクロシャントと呼ばれる専用の器具を用いて手術を行います。線維柱帯切除術と比べ、挿入が容易である、虹彩切除が不要であるなどのメリットがありますが、緑内障のタイプによっては適応外となり手術が行えません。
エクスプレスは金属製ですが、一部のMRIには対応しています。
プリザーフロマイクロシャントは非金属性です。

プリザーフロ®マイクロシャントとは

2023年より国内で新しく導入された緑内障手術用デバイスです。

プリザーフロ®マイクロシャントとは
プリザーフロ®マイクロシャントとは

小さなチューブを白目(強膜)に埋め込み、眼内の水分(房水)を眼外に逃がすことで眼圧を低下させます。これまでの同種の手術に比べ術後管理や合併症のリスクが少ないことが期待されます。手術時間は30分程度で、日帰り手術が可能です。手術適応のある方には適宜ご説明いたします。

チューブシャント手術(プレートのあるもの):現在、当院では対応していません。

バルベルトやアーメドと呼ばれる専用の器具を用いて手術を行います。シリコーン製のプレートを眼球に縫い付け、プレートに接続したロングチューブを眼内に挿入します。他の手術方法が不成功に終わったなどの難症例緑内障に対し適応となります。

手術当日の流れ

ご自身の運転(車・バイク・自転車 等)による来院はご遠慮ください。またお化粧はしないでください。当日の昼食に関しては時間制限があります。上着は手術着に着替えていただきますので、前開きが可能な服装でお越しください。詳細は別途ご案内いたします。
手術室に入ってからの流れは以下の通りです。

1. 麻酔をします

麻酔薬のほか、抗菌薬、散瞳薬または縮瞳薬を点眼します。

2. 手術の開始

手術の方法によって時間は異なりますが、1時間程度となります。

3. 手術終了

手術終了直後は、院内にて30分程度はお休みいただきます。眼帯をしてのご帰宅となります。

手術後の注意点

眼帯は翌日まで装着したままにしてください。術後に痛みを感じるようであれば痛み止めを服用してください。また目の中がゴロゴロするなどの症状が現れますが、数日程度で治まるようになります。

術後当日は入浴や洗髪、洗顔に関しては控えてください。洗眼や洗髪など術後の過ごし方は手術方法により異なりますので、詳細は別途ご案内いたします。。

検査スケジュール

手術前検査

診察にて緑内障手術が必要と判断され手術を希望される患者さまには、手術日および手術前の再診日の予約を行います。再診では採血や手術に必要な様々な眼のデータの測定、手術についての詳しい説明を行います。

手術後検査

視力の回復の程度や術後の合併症(眼球内の感染症 等)の確認のため定期的に検査を行います。疾患の性質や緑内障手術の特性から、術後の定期検査は白内障などの他の手術後に比べ長期に渡ります。